ムサシノ輪舞曲 第9話｜龍平、10年越しの想いに終止符

『ムサシノ輪舞曲』第9話では、阿川龍平（正門良規）が武蔵原環（高梨臨）への10年越しの片想いに決着をつけ、新たな人生を歩み始めるターニングポイントの回となりました。

沼田ヨリコ（影山優佳）の真っすぐな告白と、モデル体験を通じて触れた写真の仕事が、龍平に自分を見つめ直すきっかけを与えます。

そしてバレエ教室での静かな対話を経て、「俺がいなくても環は大丈夫」という言葉を胸に、龍平はヨリコに返事を伝える決意を固めました。最終回へ繋がる、大きな変化の瞬間を読み解きます。

10年越しの片想いに区切りをつける龍平

第9話の物語は、龍平（正門良規）がついに武蔵原環（高梨臨）への長年の想いに終止符を打つという、大きな転換点から始まります。

前回、沼田ヨリコ（影山優佳）から突然の告白を受けた龍平は、自らの気持ちと誠実に向き合うため、「少し時間をください」と伝えます。

10年もの片想いをしてきた龍平にとって、それは簡単な決断ではありませんでした。

ヨリコからの告白に「考える時間がほしい」と応じる

ヨリコの真っ直ぐな気持ちに対して、すぐに答えを出せない龍平。

彼女の存在はいつも「応援してくれる優しい後輩」でしかなかったはず。

しかし今、目の前で泣きそうな顔で告白してくるヨリコに、自分がどう応えるべきかを真剣に考え始めます。

環と衣笠の交際を認め、「自分の気持ち」を整理する過程

龍平は偶然、環が衣笠保（稲葉友）と共に彼女の両親の墓参りに行っていると聞かされます。

さらに、衣笠が環のために仕立てたシャツを受け取り、その丁寧な縫製に感動します。

衣笠がただの恋敵ではなく、環を本当に大切にする人間だと理解する瞬間が、龍平の心を解きほぐしていきます。

「環は、もう大丈夫だ」──その確信が、10年の想いに自ら終止符を打つ覚悟へとつながっていくのです。

写真家アシスタントとして新たな挑戦

恋に一区切りをつけつつあった龍平がもうひとつ大きく踏み出したのが、「仕事」という新たなフィールドでした。

沼田ヨリコの紹介で訪れたのは、叔父で写真家の沼田久志（岩谷健司）のアトリエ。

ここでの出会いが、龍平の人生に新しい扉を開くことになります。

沼田久志の紹介でスタジオ勤務スタート

沼田の紹介で、知人のプロカメラマンが運営するスタジオのアシスタントに就くことになった龍平。

かつてモデルとして立った側から、今度はシャッターを切る側へ。

被写体から“見る側”へ視点が変わったことが、彼の内面にも変化を与えます。

仕事を通じて“環なし”の自分を発見する龍平

撮影現場では、機材の扱い方から照明の角度まで覚えることが山積み。

しかし龍平は、汗だくになりながらも目を輝かせて働きます。

「気がつけば環のことを考える時間が減っていた」──彼のこの独白は、まさに成長の証でした。

過去ではなく、未来に目を向ける龍平の新章が、静かに始まった瞬間でもあります。

バレエ教室で訪れた気づきの瞬間

多忙なアシスタント業務の合間、龍平はふとしたきっかけで再びバレエ教室を訪れます。

そこには、かつて自分が想い続けた女性・環が、衣笠とともに穏やかに過ごしている姿がありました。

この再会こそが、龍平にとって本当の“けじめ”の瞬間となったのです。

文太から衣笠の一面を聞き、「環は大丈夫」と確信

環の弟・文太（高地優吾）から語られる衣笠の誠実さや、丁寧な職人としての一面。

それは、ライバルとしてではなく「信頼できる人」として衣笠を見る視点を、龍平に与えていきます。

環のそばに立つのが衣笠でよかった──

そう心から思えたとき、龍平は初めて自分の未練を手放すことができました。

バレエ教室での再会が「終止符」を後押し

静かなバレエスタジオの中、環と龍平は短い言葉を交わします。

その一つ一つが、どこか「過去」を清算するような響きを持っていました。

「俺がいなくても、環は大丈夫」という確信。

この言葉を自分の中で噛みしめたとき、龍平は10年の想いに終止符を打つ決意を固めたのです。

ヨリコへの返事──新たな恋の始まり

過去に区切りをつけた龍平は、自分の足でヨリコのもとへと向かいます。

カフェでも教室でもない、いつもの坂道で二人が向き合うこのシーンは、特別な演出がなくとも心に残る名場面でした。

「時間がほしい」と言ったあの日の返答を、龍平は真っ直ぐな言葉で返します。

静かだけど強い、10年愛の決着

「環のこと、ちゃんと終わらせてきた」──

そう語る龍平の表情には、未練でも諦めでもなく、前を向こうとする意志がはっきりとにじんでいました。

ヨリコは何も言わず、ただ少しだけ涙ぐみ、笑顔でうなずきます。

それは恋が始まる瞬間であると同時に、龍平の再出発でもありました。

人生の次のステージへ一歩を踏み出す龍平

写真の仕事、そして新しい恋。

どちらも、これまでの龍平にはなかった世界です。

でも彼は、もう後ろを振り返りません。

環を見守る恋から、誰かと向き合う恋へ。

ムサシノの風景が、静かにそんな変化を見守っているようでした。