アニメ『ヴィジランテ −僕のヒーローアカデミア ILLEGALS−』第6話「一線」では、“ヒーロー殺し”ステインとなる前のスタンダールが、自らの正義と狂気の境界を越えていく姿が描かれます。
コーイチを救い、ナックルダスターと激突する中で、彼の思想は“ヒーロー断罪”という過激な形に変貌していきます。
このエピソードは、ステインというキャラクターの誕生に深く関わる重要な回であり、ヴィジランテ側と“本編ヒロアカ”との橋渡しとなる物語です。
- スタンダールの正義がステインの狂気へと変わる過程
- ナックルダスターとの戦いがもたらした決定的な転機
- “ヒーローとは何か”を問いかける深いテーマ性
スタンダールが救った“正義”とその代償
第6話の冒頭では、コーイチが窮地に陥るシーンから始まります。
そこに現れたのが、ヒーローを名乗る男・スタンダール。
彼はコーイチの“誰かを救いたい”という想いに共鳴し、危機を救うというヒーローらしい姿を見せます。
コーイチへの共感と危うさ
一見すると、スタンダールは正義感に満ちた熱血ヒーローのように振る舞います。
しかし彼の口から語られる“正義”は、「己の信じる善」だけを絶対視し、それに従わぬ者を“悪”として排除する危険な思想を孕んでいます。
コーイチは彼に一瞬の憧れを抱きながらも、その言動の端々に違和感を感じ始めるのです。
「悪」とみなした者への粛清という思想
スタンダールが次なる標的に定めたのは、蜂須賀の策略によって罠にかけられたソーガたち。
彼らを「偽物のヒーロー」「正義を汚す存在」と断じ、“断罪”という名の殺意を燃やす姿は、すでにヒーローの域を逸脱していました。
この時点で、彼の正義は“救済”ではなく“粛清”へと大きく傾いていたのです。
ナックルダスターVSスタンダール
コーイチに危機が迫る中、彼の師とも言える存在・ナックルダスターがスタンダールの前に立ちはだかります。
ここから始まるのは、ただの肉弾戦ではなく、“正義とは何か”を巡る思想のぶつかり合いでもあります。
二人の戦いは、拳と拳以上に、“信念”の重さを浮き彫りにしていきます。
肉弾戦が示す“信念の差”
ナックルダスターは、元プロヒーローでありながら今は力を失った存在。
しかしその拳には、「力がなくても守りたいものがある」という真のヒーロー精神が宿っています。
一方、スタンダールは“理想”と“憎悪”を混ぜ合わせた暴力を振るう存在に堕ちており、その攻撃は鋭いが空虚です。
拳を交える中で、その“差”が明確になっていきます。
「贋物」と指摘されたことが引き金に
戦いの最中、ナックルダスターはスタンダールに対して、「お前は本物じゃない、贋物だ」と断言します。
この言葉は、自らを“正義の体現者”と思い込んでいたスタンダールにとって致命的な打撃となりました。
この一言が、彼の中にあった“何かが壊れた”瞬間であり、ここから“ステイン”という存在が生まれ始めるのです。
スタンダールからステインへ──変貌の瞬間
ナックルダスターとの激突の後、スタンダールは深く傷つき、自らの中にあった“理想”が崩れていく感覚に打ちのめされます。
彼はこれまで、自分こそが“真の正義”だと信じて疑わなかったのです。
しかし、ナックルダスターの言葉と拳によって、自分がただの“独善的な贋物”であったことを突きつけられたことで、彼の人格が大きく歪み始めます。
鼻を削ぎ、仮面を脱ぎ捨てた男
敗北を喫し、自らのアジトへと戻ったスタンダールは、なんと“自らの鼻”をナイフで削ぎ落とすという異常行動に出ます。
これは、自らの過去と偽りの仮面を完全に捨て去り、“新たな自分”として生まれ変わるための儀式でした。
そしてこの瞬間から、彼は“スタンダール”ではなく、後に“ヒーロー殺し・ステイン”として知られる存在へと変貌していくのです。
“本物”への執念が狂気へ変わる
ナックルダスターに「贋物」と断じられたことで、スタンダールの中には“本物”になることへの異常な執念が芽生えます。
そしてその答えが、「偽物のヒーローを粛清し、自分が真の正義となること」だったのです。
このエピソードは、ステインという“ヴィラン”の誕生を描いた極めて重要な回であり、彼の狂気がどのように形成されたのかが明確に描かれました。
ヴィジランテ第6話ネタバレまとめ
第6話「一線」は、“ステイン”というキャラクターの核心に迫る、ヴィジランテ屈指の重要回でした。
スタンダールという仮面の下にあった正義は、ナックルダスターとの邂逅を経て“狂気”へと変貌し、遂に“ヒーロー殺し”ステインが誕生します。
その過程は衝撃的で、同時に「ヒーローとは何か」「正義とは誰が定めるものか」といった根源的な問いを投げかけてきます。
ヒーローとは何か?正義とは何か?を問いかけるターニングポイント
ナックルダスターの「力がなくても守る」という信念と、スタンダールの「偽物を断罪する」という思想。
この対比が、本作のテーマである“市井のヒーロー像”をより強く浮かび上がらせる回となっています。
そして、コーイチがこの対立をどう受け止め、自身の正義を見つけていくのか──それが今後の物語の大きな軸となるでしょう。
- スタンダールがコーイチを救うが、その正義には狂気が潜む
- ナックルダスターとの戦いで「贋物」と断じられる
- 鼻を削ぎ、ステインとして生まれ変わる衝撃の変貌
- 正義と悪の境界がテーマとなる重厚な回
- ステイン誕生の瞬間を描いた重要エピソード
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