『エンジェルフライト』第5話では、過去に「保険金殺人」の容疑で世間を騒がせた悪女・リリーが登場。
今回の遺体搬送依頼は、リリーの新たな夫であるモロッコの大富豪サリム。再び“殺したのか”という疑念が渦巻く中、那美(米倉涼子)と伊沢(松本若菜)が“本当の別れ”をめぐってぶつかり合います。
本作では、疑惑と真実、過去の後悔と赦し、“送り出す”という行為に秘められた人間の感情が丁寧に描かれています。
- 悪女リリーの真実と“最後の別れ”の意味
- 那美が抱える過去の後悔と向き合う姿
- 花嫁姿で逝った女性の願いと家族の想い
保険金殺人の疑惑再び?悪女リリーとサリムの最期
かつて「保険金詐欺女」として世間を騒がせたリリー(松本若菜)が、日本に帰国します。
今度の相手は、モロッコの大富豪・サリム。
夫婦としての来日中にサリムがホテルの浴室で死亡するという事件が発生し、再び世間の目がリリーに向けられます。
認知症と妊娠、すれ違いの果てに起きた“事故”
サリムは重度の認知症を患い、リリーを亡き第一夫人・ナディアと重ねて呼び続けていました。
妊娠が発覚し一時は心が通い合ったかに見えた2人でしたが、日本での新婚旅行中にサリムの症状が悪化。
感情が爆発したリリーはネックレスを引きちぎられた怒りから首を絞めるも、殺しきれずその場を去ります。
サリムが遺した動画と「初めて呼ばれた名前」
死因は溺死と薬物の影響であり、リリーの行為は決定的な致死には至っていないことが判明。
その後、サリムのスマホに残されていた動画には、初めてリリーと名指ししたうえでの「ありがとう」と「ごめん」の言葉が記録されていました。
その一言が、リリーの“罪”を裁くものではなく、彼女の“人間性”に触れる鍵となります。
伊沢とリリーが交差させた“罪”と“赦し”
リリーの態度に疑念を抱いていた那美に対し、伊沢(松本若菜)は冷静に彼女を見つめていました。
一見すると強欲で冷酷な女性に見えるリリーですが、その仮面の裏には“報われなかった愛”と“失った命”への痛みが隠されていたのです。
そして伊沢自身もまた、過去の恋人を突然失った経験を持つ人物。
那美の説得とリリーの最後の決断
那美は「あなたのためじゃない。彼のために、ちゃんとお別れしてほしい」と語りかけます。
リリーはその言葉に一瞬心を揺さぶられながらも、あくまで淡々と手続きを進めようとします。
しかし、スマホに残された動画を目にした瞬間、リリーの態度は一変。
サリムが「ありがとう、リリー」と初めて名を呼んだその言葉は、彼女の氷のような心を溶かしました。
赤いネックレスと涙のキス
リリーは、彼が引きちぎったネックレスの鎖を直して遺体の胸元に置きます。
そして、那美の願いで警察に連行される直前、サリムにそっと別れのキスをするという静かで美しいラストが描かれました。
この一連の流れは、死と向き合うことの意味、そして“赦し”の形を問いかける深いエピソードとなっています。
那美の過去と“愛した人”を失った痛み
リリーの姿に何かを重ねるように、那美自身の過去もまた第5話で明かされていきます。
彼女がかつて恋人として共に過ごしていたのは、足立幸人(向井理)。
しかし、彼の前科を知った那美は、その怒りと失望から激しい言葉で彼を罵ってしまいます。
幸人への罵倒とキューバでの海難事故
激しく傷ついた足立はキューバへと旅立ち、その後海難事故に巻き込まれ消息不明となってしまいます。
この出来事が、那美の心に消えることのない後悔を刻み込みました。
「あんな言い方、しなければよかった」という独白に、彼女の深い傷と孤独がにじみ出ています。
後悔と共に生きる強さを手にした那美
足立を失った過去は、那美が“死”と真正面から向き合う理由のひとつでもあります。
「もう悔いの残る別れはしたくない」という信念が、彼女の今の仕事への誇りを支えているのです。
その強さと優しさが、今回のリリーや他の遺族たちとの接し方に繋がっていることが、視聴者の共感を呼ぶ大きな要因となりました。
サブエピソード:花嫁姿で逝った女性の願い
第5話ではメインストーリーと並行して、もうひとつの“別れの物語”が描かれます。
担当するのは矢野(矢本悠馬)。
彼が向き合ったのは、結婚式を目前に突然亡くなった女性の遺体搬送でした。
矢野が届けた“ウェディングドレスの遺体”
家族の願いは一つ――「花嫁姿で送り出してあげたい」。
矢野はプロのメイクスタッフと協力し、亡くなった彼女にウェディングドレスを着せ、美しい姿で送り出します。
参列者たちは涙ながらに「本当に綺麗」と口にし、“叶わなかった夢を形にして贈る”ことの意義が伝わる瞬間となりました。
「送る仕事」に込める誇りとやさしさ
矢野は今回の仕事を通して、自らの中にある「遺された人の想いに応える責任」を再確認します。
言葉少なに、しかし丁寧に対応する矢野の姿勢は、視聴者に深い印象を残す演出となっています。
この小さなエピソードが、本編とはまた違った角度から“死と向き合う覚悟”を教えてくれる、非常に完成度の高い挿話でした。
『エンジェルフライト』第5話ネタバレと感想まとめ
第5話「那美VS究極の悪女」は、保険金殺人と呼ばれた“悪女”の素顔に迫る濃厚なヒューマンドラマでした。
リリーという複雑な女性の過去と現在、その“仮面”の裏にある悲しみや孤独が、丁寧に描かれています。
一方で那美もまた、かつて愛した人を喪った経験を抱えながら、“別れを悔いなく終わらせる”ことの重さと向き合っていました。
さらにサブエピソードでは、花嫁姿のまま逝った女性とその家族の想いが描かれ、「死」は終わりではなく、願いを託す場所であることが静かに語られます。
それぞれの立場、感情、過去が交差することで、“命を送る”とはどういうことかを、あらためて問いかけてくれる回となりました。
視聴者は、リリーの涙、那美の後悔、矢野の優しさに心を動かされ、“人を送ることは、愛を伝えること”であると気づかされるのです。
- 悪女とされたリリーの“人間らしさ”が描かれる
- 那美と伊沢の過去が重なり合い心が動く展開
- 花嫁姿で旅立つ女性のエピソードも感動的
- “死”を通して“生きる意味”を問う重厚な回
- それぞれの“別れ”に寄り添う姿勢が胸を打つ
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