2025年6月3日放送の実写ドラマ『天久鷹央の推理カルテ』第7話では、天才医師・天久鷹央(橋本環奈)が師匠の死の謎に挑む、シリーズ屈指の重厚なエピソードが描かれました。
密室で発見された院長・御子神氷魚(賀来千香子)の死。残されたのは彼女の足跡だけ。事件を“密室殺人”と見た鷹央は、内科医・小鳥遊優(三浦翔平)と共に真相を探ります。
鷹央の原点が明かされ、深い師弟の絆と医師としての矜持が問われる第7話。その核心に迫ります。
- 第7話で明かされる“密室トリック”の全貌
- 鷹央と師・御子神氷魚の深い師弟関係
- 鷹央が下した“医師としての決断”の理由
密室で亡くなった御子神院長、その死の真相とは?
発見されたのは密室のカルテ庫と1つの足跡
御子神記念病院の院長・御子神氷魚が亡くなっていたのは、完全に施錠されたカルテ庫。内部からも外部からも鍵が閉まっており、窓などの出入り口も存在しない、まさに“密室”といえる空間でした。
現場に残されていた足跡は氷魚本人のものだけ。外部から誰かが侵入した痕跡は見つからず、第三者の存在を否定する証拠ばかりが揃っていました。この状況に、刑事たちは「事故死」あるいは「自殺」との見方を強めていました。
しかし、鷹央はその“違和感”を見逃しませんでした。
第一発見者は姪の御子神鮎奈、証言に不自然さは?
第一発見者は、氷魚の姪であり事務長を務める御子神鮎奈。氷魚を訪ねてカルテ庫を開けた際、鍵が内側からかかっていることに気づき、急いで開錠して中へ。そこで倒れている氷魚を発見したと証言しました。
鮎奈は「誰も出入りしていない」「伯母は普段どおりだった」と語るものの、鷹央は彼女の言葉の端々に微かな違和感を覚えます。
さらに、鷹央は鮎奈の証言を補強・反証するために、防犯カメラや電子カルテのアクセス履歴なども調べ始めることになります。
鷹央と御子神氷魚──“師弟の絆”が明かされる
自閉スペクトラム症という共通点が育んだ関係
天久鷹央と御子神氷魚は、医師としての師弟関係に留まらず、共に“自閉スペクトラム症”という特性を抱えている点で深くつながっていました。
他者との距離感、感覚過敏、こだわりの強さ──鷹央が医学生時代、周囲と馴染めず苦しんでいた頃に、唯一理解者として寄り添ってくれたのが氷魚だったのです。
氷魚は鷹央に対し、「君は君のままでいい。医師としての形はひとつじゃない」と繰り返し語ってきました。この言葉が、鷹央の信念と矜持を支える礎となっています。
過去の回想で描かれる鷹央の成長と氷魚の教え
第7話では、鷹央が学生だった頃の回想が挿入されます。そこでは、孤独を抱える鷹央に、氷魚が寄り添い、論理的思考を武器にできる診断医としての在り方を教える姿が描かれました。
「弱みは強みに変えられる」と信じる氷魚の言葉に励まされ、鷹央は少しずつ“診断医としての自信”を身につけていったのです。
この回想が、今回の密室事件における鷹央の葛藤と向き合う“原点”となっていきます。
“探偵失格”と苦悩する鷹央、その理由とは?
事件解決への鍵をつかめず、自らを責める
密室での死という前代未聞の難事件に、鷹央はかつてないほど追い詰められます。恩師の死の真相を求める強い思いとは裏腹に、明確な証拠も突破口も見つけられず、「私は探偵失格、いや医師失格だ」と自らを責める姿が描かれました。
普段は冷静沈着な鷹央が、怒りや焦りを露わにする場面もあり、視聴者の心を揺さぶります。事件の複雑さと、恩師への深い感情が絡み合い、精神的にも限界を迎える瞬間が訪れます。
鷹央の「医師としての使命感」が揺らぐ瞬間
これまで鷹央は、“患者の命を救う”という使命感を何よりも重視してきました。しかし今回のように、信じるべき師が謎の死を遂げたことで、「診断する力」が無力だったのではないかという不安に襲われます。
“医師である前に、ひとりの人間として大切な存在を救えなかった”──その痛みが、彼女の揺らぎとして丁寧に表現されており、本作のテーマである「医学と人間性のはざま」が浮かび上がります。
謎を解く鍵はレジ店員の証言だった
飲食店の店員が偶然見た“ある行動”
捜査が行き詰まる中、鷹央たちが立ち寄った飲食店で、事件の鍵となる証言が飛び出します。レジ店員(櫻井優衣)が語ったのは、事件当日、御子神氷魚の妹・知奴が“奇妙な行動”をしていたという内容でした。
一見何気ない目撃談ですが、それは氷魚の死に深く関係していた可能性がありました。この何気ない一言が、鷹央の推理を大きく動かすことになります。
意外な場所にあった“トリック”のヒント
鷹央は店員の証言から、“現場のカルテ庫が密室でなかった可能性”に気づきます。実は、カルテ庫の構造には盲点があり、ある道具とタイミングを使えば、あたかも密室であるかのように見せかけることが可能だったのです。
レジ店員の証言は、“事件当日の行動の不自然さ”と“犯人の動機”を結びつける、重要なピースでした。ここから一気に事件の全貌が明らかになります。
真犯人の動機と“広義の密室トリック”の正体
嫉妬と権力欲が生んだ犯行
真犯人は、副院長の御子神知奴(梶原善)でした。彼は長年、院長の座を妹・氷魚に奪われたことを恨み、嫉妬と権力欲に突き動かされていたのです。
氷魚が鷹央に「殺されるかもしれない」と打ち明けていたのも、過去に知奴が院内の決定を巡って衝突していたからでした。氷魚の死は突発的なものではなく、綿密に計画された犯行だったのです。
鍵は“事前に仕込まれた”密室構造
知奴はカルテ庫に細工を施し、「一見すると密室に見える構造」を作っていました。鍵を使わずに中から閉めたように見せかける“閉鎖機構”をあらかじめ設置し、事件後に自らが第一発見者となることも避けていました。
この“広義の密室トリック”は、医療機関ならではの構造と日常性を逆手に取ったもの。鷹央は、その矛盾にいち早く気づいたことで真相にたどり着きます。
鷹央の“答え”と向き合い、迎える決断の時
師匠の思いに応えるための推理の結論
鷹央は、恩師・氷魚が遺した「真相を見つけてほしい」という言葉に突き動かされ、自らの推理と医師としての直感を信じて真実にたどり着きます。
密室トリックのカラクリを暴き、動機の全貌を明らかにしたことで、氷魚の無念を晴らすことができました。それは単なる事件解決ではなく、師匠への答えであり、敬意の証でもありました。
再び医師としての自分を取り戻す
「私は探偵失格、いや医師失格だ」とまで思いつめた鷹央。しかし事件の真相に辿り着き、師匠の思いに応えたことで、再び自分の使命を思い出します。
医師として、患者の心と向き合い、真実を見つけ出す。鷹央はこの事件を通して、もう一度「自分自身を信じる強さ」を手に入れるのでした。
天久鷹央の推理カルテ 第7話のまとめ
シリーズ屈指の人間ドラマとミステリーの融合
第7話「密室の死」は、師弟関係を軸にした人間ドラマと、緻密に組み立てられた密室トリックのミステリーが見事に融合したエピソードでした。
鷹央と氷魚の関係性を深掘りすることで、キャラクターへの共感が一層高まり、物語の奥行きが増しています。
視聴者に深い余韻を残す感情の揺さぶり
「師匠を失うこと」「自分を見失うこと」「それでも前に進むこと」──鷹央の葛藤と再起は、視聴者の心に静かに、しかし確かに響きました。
医療と推理、感情と論理。そのどちらも描き切った第7話は、『天久鷹央の推理カルテ』の中でも特に印象深い回となったことでしょう。
- 御子神院長が密室で死亡、事件の謎を鷹央が追う
- 鷹央と師・氷魚の深い絆と自閉スペクトラム症の共通点
- “探偵失格”と苦悩する鷹央の葛藤が描かれる
- 飲食店店員の証言が事件解決の鍵に
- 嫉妬と権力欲が動機の“広義の密室”トリック
- 鷹央が医師としての原点を取り戻す決断の瞬間
- 人間ドラマとミステリーが融合した第7話の見どころ
コメント