ざつ旅-That’s Journey-第9話ネタバレ｜温泉で完成する物語

2025年春アニメとして放送中の「ざつ旅-That’s Journey-」第9話「温泉で完成して、初日の出」では、主人公・鈴ヶ森ちかが創作のスランプから抜け出すため、青森への“ざつ”な旅へと出る様子が描かれます。

アンソロジーの仕事を受けたものの筆が進まず悩むちか。旅先での風景や出会い、温泉での癒やしを通じて、彼女が漫画創作に向き合っていく姿が描かれます。

この記事では、「ざつ旅」第9話のあらすじや見どころ、旅先での出来事、ちかの変化などをネタバレ込みで詳しく解説していきます。

ちかが向き合うスランプと創作の壁

第9話は、漫画家志望の鈴ヶ森ちかが、創作のスランプに苦しむ場面から始まります。

アンソロジー作品の依頼を受けたものの、思うようにネームが描けず、自室で頭を抱えるちか。

やる気が出ないまま、机の前で時間だけが過ぎていく──そんな焦燥感が、リアルに描かれています。

アンソロジー仕事の苦悩

ちかは、人気作家のアンソロジー企画に原稿を寄せるという仕事を任されます。

「せっかくのチャンスなのに描けない」──その葛藤は、漫画家を目指す彼女にとって最大の壁でした。

描きたいものはあるはずなのに、思考がまとまらず、ネームも白紙のまま。

机に座っているだけでは、何も進まない。

そんな閉塞感に気づいたちかは、ふと「そうだ、旅に出よう」と思い立ちます。

創作から逃げるのではなく、新しい刺激を取り入れて、自分の感覚を取り戻そうとする選択です。

描けない焦りと、自分を責める気持ち

ちかの内面には、「描けない＝自分が未熟だから」という自己否定の感情が渦巻いています。

SNSや周囲の活躍と自分を比べて落ち込むシーンもあり、現代の若いクリエイターの苦悩が反映されています。

それでも彼女は、諦めるのではなく、「行動して、何かを変えたい」という思いで青森への旅を決意します。

その選択が、後の展開に大きな意味をもたらしていくのです。

この章では、“描けない”ことを正面から受け止め、前に進もうとするちかの姿勢が丁寧に描かれています。

何かに行き詰まった時に、あえて遠回りを選ぶ勇気──それが、「ざつ旅」という作品の本質でもあるのかもしれません。

青森への“ざつ旅”がもたらす気づき

描けない自分を変えたい──その想いを胸に、ちかは青森への旅に出ます。

SNSのアンケートで選ばれた地を目指すいつもの「ざつ旅」形式で、彼女は再び“気ままな放浪”を始めました。

旅の先にあったのは、凍てつく風景の中に潜むやさしい記憶と、自分の感情と向き合う静かな時間でした。

八甲田山で出会った自然の圧倒的スケール

ちかがまず訪れたのは、青森の名峰・八甲田山。

その雄大な自然と、ころころ変わる山の天気に、彼女はただただ圧倒されます。

「星すごい、つもあるはずなのに見えてなかったのか」

──というセリフは、何かを見失っていた自分への気づきを示す象徴的な一言。

自然と対峙したとき、ちかは自分の小ささを知り、同時に、心の重りが少し軽くなったように感じたのです。

谷地温泉で心と体が解けていく瞬間

次に彼女が向かったのは、青森・十和田エリアにある谷地温泉。

そこでちかは、「とろけるような心地」を味わいながら湯に浸かります。

温泉のぬくもりと静けさは、彼女の疲れや焦りをふわりと包み込んでくれる存在でした。

谷地温泉での時間が流れる中、ちかの表情にも少しずつ変化が訪れます。

「焦っていたのは、自分だけだったのかもしれない」

──そう気づくことで、彼女の心はまた、創作へと向かい始めるのです。

“ざつ”な旅は、ちかにとって、再起動の儀式だったのかもしれません。

旅の中で得た“感覚”を漫画へ昇華

青森の大地での体験と谷地温泉の癒やしを経て、ちかの中で何かが静かに動き始めます。

風の音、星の光、湯けむりのぬくもり──すべてが、彼女の創作を刺激する新たなインクとなっていくのです。

そしてついに、ちかの筆は動き出します。

筆が動くようになったきっかけとは？

旅の中で出会った人々や風景、そして何より“何も考えずに感じる”という時間が、ちかの中で少しずつ形になっていきました。

谷地温泉の休憩室で、彼女は手帳を開き、ふと思いついたキャラを描き始めます。

それはまるで、温泉の湯が心を解いてくれたかのように、自然と線が走り出す瞬間でした。

「やっぱ、私、こういうのが描きたかったんだ」

そう呟く彼女の声には、かつて失っていた確信が宿っています。

焦りではなく、“描きたい”という衝動で手を動かせる──その感覚が、戻ってきたのです。

温泉宿で描き上げた1枚とちかの表情

温泉宿の小さな机の上で、ちかはネームを仕上げていきます。

部屋の窓からは雪景色が広がり、時折聞こえる風の音が、彼女の集中を妨げません。

描きたいものが、今はちゃんと自分の中にある──そんな実感と共に、彼女は原稿を完成させました。

描き終えたちかは、大きく息をつきながらほほ笑みます。

「旅に出てよかった」と静かに思えるその瞬間は、この物語が伝えたかった本質そのものでした。

旅は目的じゃない、でもその途中に、描く理由はちゃんと転がっている。

初日の出とともに歩き出す新しい一歩

原稿を仕上げたちかは、旅の最後に初日の出を見に行くことを決めます。

夜明け前の寒さに震えながら、青森の空が少しずつ色づいていくのを見つめる彼女の表情は、どこか晴れやかでした。

その瞬間、彼女は「次も描いてみたい」と思える自分に気づきます。

青森の冬空に昇る初日の出のシーン

凍てつく空気の中、ちかは山の展望台に立ちます。

視界いっぱいに広がる銀世界──そしてその奥に、赤く染まり始める朝焼け。

やがて太陽が顔を出し、雪原がきらきらと光を反射する様子が描かれます。

ちかはその光景を前に、そっと目を閉じて深呼吸します。

「あたらしい年も、たぶん“ざつ”なんだろうな」

そう言って小さく笑う彼女の横顔には、迷いを受け入れた人間だけが持てる強さがにじんでいました。

ちかが感じた“再スタート”の確かな実感

この旅を通じて、ちかは答えを得たわけではありません。

でも、「描くことに、もう一度向き合ってもいい」という前向きな感情を抱けるようになった。

それこそが、この第9話で描かれた最大の“成長”でした。

彼女は初日の出を見届けた後、自分に言います。

「ざつでも、進んでいけば、何かになる」

その言葉は、旅と創作の両方を繋ぐ、自分だけの答えでした。

ざつな旅の終わりに、小さな確信を持って歩き出す──

それが、ちかの物語の新たな始まりなのです。

ざつ旅-That’s Journey-第9話のネタバレまとめ

第9話「温泉で完成して、初日の出」は、創作のスランプに苦しむ鈴ヶ森ちかが、旅によって再生する過程を描いた物語です。

青森という土地が持つ自然の厳しさと温泉のやさしさ、そして元旦の澄んだ空気が、彼女の心をゆっくりとほどいていきます。

そして、再び「描きたい」と思える自分に出会ったちかは、初日の出とともに小さな再スタートを切るのです。

旅で癒され、描く力を取り戻す物語

この回では、旅がただの気晴らしではなく、創作と直結した「心のメンテナンス」であることが示されました。

八甲田山で自然に圧倒され、谷地温泉で静かに癒される時間が、ちかの創作スイッチを再び入れてくれたのです。

旅は“ざつ”でいい。完璧じゃない道でも、前に進めば何かが変わる。

第10話への期待とちかの成長の行方

物語はクライマックスに向けて進んでいます。

第9話は、ちかの原点を描きつつ、次なる創作へ向かうきっかけを描いた重要な回でした。

次回、彼女がどんな場所へ、どんな思いで旅するのか。

“ざつ”な旅が、確かな軌跡を描いていく。

その一歩一歩を、私たちも静かに見届けていきたいと思います。