ざつ旅-That’s Journey-第1話ネタバレ｜旅に出た理由と会津若松の風景

アニメ『ざつ旅-That’s Journey-』第1話「はじめの1225段」では、主人公・鈴ヶ森ちかの心情の変化と旅の始まりが描かれます。

漫画家として行き詰まりを感じていたちかは、SNSで旅先を募集し、行き当たりばったりの「ざつ旅」を始めます。

初めての目的地は、福島県会津若松。彼女の不安と期待が交錯する中で出会う風景や人々とのやりとりが、物語に温かみを加えています。

『ざつ旅-That’s Journey-』第1話の物語は、主人公・鈴ヶ森ちかが旅に出る決意をするまでの心の動きを丁寧に描いています。

彼女がなぜ「ざつ旅」というスタイルを選んだのか──その核心には、創作に対する不安と焦燥がありました。

漫画家志望でありながら、結果の出ない日々に押しつぶされそうになるちかの姿が、リアルで胸に刺さります。

漫画家としての挫折と焦燥

物語の冒頭、ちかは編集部に提出したネームが何度もボツになるという場面からスタートします。

その度に「面白くない」「テーマが弱い」とダメ出しされ、彼女の中にあった自信は少しずつ削られていきます。

夢を追いかけることの厳しさと孤独感が、ちかの表情やモノローグから痛いほど伝わってきます。

「旅に出たい」という衝動がもたらしたもの

心が折れそうになったその瞬間、ちかはふとスマートフォンを取り出し、「旅に出たい」と呟きます。

この一言は、彼女の中に眠っていた“自由への欲求”が噴き出した瞬間でした。

誰かに評価されることではなく、自分の感情に素直になるという選択──それこそが、彼女が“旅に出る”本当の理由だったのです。

アニメ『ざつ旅-That’s Journey-』第1話では、SNSを通じて旅先を決めるというユニークな手法が物語に登場します。

これはまさに“ざつ旅”の象徴であり、計画よりも流れに身を任せる旅の始まりでもあります。

フォロワーとの距離感や、偶然性を楽しむ姿勢が、主人公・ちかのスタイルを決定づけていくのです。

フォロワーの反応がちかを動かす

旅に出たい衝動を抱えたちかは、X（旧Twitter）で「どこに行けばいい？」とアンケートを実施します。

すると、彼女の期待を上回る数の回答とリプライが寄せられ、「行ってみたい」「応援してる」という声が画面いっぱいに広がるのです。

この反響に驚きながらも、ちかは少しずつ心を動かされていきます。

初めての目的地は福島県会津若松

アンケートの結果、最初の旅先に選ばれたのは福島県の会津若松。

行ったことのない土地、知らない街──ちかにとっては不安と期待が入り混じる出発地です。

“ここから始めていい”と背中を押してくれたのは、彼女を見守る名も知らぬフォロワーたちだったという点も、この作品の温かさを物語っています。

鈴ヶ森ちかの“ざつ旅”第1歩の舞台となったのが、歴史と自然に彩られた福島県・会津若松です。

慣れない一人旅に緊張しながらも、ちかは道すがらの景色や偶然の出会いに心を開いていきます。

この街で過ごすひとときが、彼女の中に小さな「気づき」を生み出す大切な時間となりました。

1225段の階段が象徴する心の変化

会津若松でちかが訪れるのは、飯盛山の1225段におよぶ石段。

その階段を前に立ち尽くすちかは、「なんで私はこんなところにいるんだろう…」とふと思います。

しかし、ひとつずつ階段を登っていくうちに、モヤモヤしていた気持ちが少しずつ晴れていくのです。

このシーンは、彼女の「創作の焦り」から「自分との向き合い」への移行を象徴的に描いています。

旅先で感じた「自分を許す」という選択

階段を登り終え、頂上の景色を見たちかは、「旅って、悪くないかも」と呟きます。

その言葉は、どこかで自分を責めていた彼女が、自分を許し始めた瞬間でもありました。

正解もゴールもない旅だからこそ、肩の力を抜いて自分自身と向き合える──そんな“ざつ旅”の魅力が、ちかの心を少しずつ癒やしていくのです。

『ざつ旅-That’s Journey-』第1話を通して伝わってくるのは、旅とは本来もっと“自由でいい”という価値観です。

予定を立てず、地図を広げず、SNSで行き先を決めるというスタイルは、まさに現代ならではの旅の楽しみ方と言えるでしょう。

第1話では、その“ざつさ”こそが旅の本質を捉えているというメッセージが、随所に込められていました。

行き当たりばったりだからこそ得られる出会い

何も決めずに出かけることで、思いがけない人や場所との出会いが生まれる──これが“ざつ旅”の醍醐味です。

鈴ヶ森ちかが会津若松で立ち寄った食堂や、SNSを通じてもらった旅のアドバイスは、まさに偶然の産物。

自分で組んだ旅では出会えない、小さな驚きと感動が、彼女の旅を豊かにしていきます。

予定調和ではない旅のリアルと感動

旅番組やSNSで見るような“きれいに整った旅”ではなく、汗だくで階段を登り、道に迷いながらも進む姿が本作にはあります。

その姿こそが、旅を通して人がほんの少し変わっていく様子をリアルに描いているのです。

ちかの不器用さや迷いも、視聴者にとっては「共感」や「自分も旅に出てみたい」という気持ちにつながっていくのではないでしょうか。

『ざつ旅-That’s Journey-』第1話「はじめの1225段」は、主人公・鈴ヶ森ちかが“ざつな旅”を通して自分を取り戻していくきっかけを描いた、温かなエピソードでした。

漫画家としての道に迷い、心が折れそうになる中で思いついた「旅に出たい」という衝動。

その一歩が、彼女にとってかけがえのない時間と気づきをもたらします。

SNSでのアンケートに背中を押され、会津若松という知らない土地を訪れたちかは、迷いながらも1225段の階段を登り切り、「旅って悪くないかも」と笑います。

その言葉には、少しだけ前向きになれた自分への肯定が込められていました。

“ざつ旅”は単なる旅のスタイルではなく、迷ったとき、行き詰まったときの「心のリセット」でもあるのです。

第1話を観終わった後、きっとあなたも「自分もどこかに行ってみようかな」と、ふと感じているかもしれません。