深夜、ひとりで『あなたを奪ったその日から』第5話を見終えたあと、胸に残ったのは「この感情、どう整理すればいいんだ…」というモヤモヤでした。
11年前に娘を奪われ、復讐のために動いてきた紘海(北川景子)が、敵だと信じて疑わなかった旭(大森南朋)に“別の一面”を見てしまう。このズレが、静かに、でも確実に心を揺らしてくるんです。
今回はそんな第5話の展開をネタバレありで振り返りつつ、父として、そして「物語に感情を持っていかれる視聴者」としての視点で感じたことを綴っていきます。
- 第5話で描かれた旭の意外な素顔とその葛藤
- 紘海と美海に迫る“誘拐の真実”の発覚リスク
- 新たに浮かぶ復讐者の存在と物語の転機
旭=悪とは限らない? 紘海が出会った“意外すぎる人間味”
ずっと「敵」だと思っていた相手に、思わぬ“人間らしさ”を見せられたとき、復讐の炎ってどう揺れるんだろう。
第5話で、紘海は旭のスーパー「スイッチバック」で働き始めます。しかも配属先は、旭が肝いりで立ち上げた「お客様相談室」。あの男がそんな“現場の声”を気にするのか?って最初は僕も半信半疑でした。
でも、そこで紘海が知ったのは、旭がすべてのクレームに目を通しているという事実。これには、さすがに僕も驚きました。
悪人なら、とっくに責任を放棄してるはず。それでも彼は“やり続けている”。そう考えると、彼の中にどこか贖罪の気持ちがあるようにも見えてくるんですよね。
クレーム対応に真摯な姿勢…ただの悪人ではなかった
「お客様の声」を手で仕分けして、社員にも目を通すよう伝える旭。その姿は、少なくとも過去の記憶の中にある“冷酷な社長”とはまったく違って見えました。
紘海が動揺するのも当然。自分の中に出来上がっていた“加害者像”が音を立てて崩れていく。
そして視聴者の僕も、つい彼を単なる「悪」だと決めつけていたことを反省したくなりました。
「ユウキアサヒ、幼児殺し」──届き続ける投書の意味
そんな折、紘海はある投書の存在を知ります。
それは月に数回、「ユウキアサヒ、幼児殺し」と書かれた紙が、特定の店舗に届いているというもの。
旭を今も恨む“誰か”が確かに存在する。しかも、定期的に、執念深く。
いたずらと切り捨てる人もいるけど、紘海はその投書に自分と同じ「怒り」を感じ取ってしまう。
旭の過去には、まだ表に出ていない何かがある。それを突き止めたい、けれど心のどこかで「本当にこの人は憎むべき存在なのか…?」という迷いが見え始めた――それが今回の大きな転換点だったと思います。
“母”と“誘拐犯”の狭間で揺れる紘海、美海が語った心の声
第5話でもうひとつ印象的だったのが、紘海と美海の“母娘”関係のほころびが、少しずつ浮き彫りになっていくところ。
このドラマって、「誘拐」と「育児」がまっすぐに交錯してるから、見るたびに自分の父親としての気持ちもザワつくんですよね。
今回、紘海の自宅を訪ねてきた元園長・雪子(原日出子)が、美海(=旭の娘)の存在に強い違和感を持ち始めます。「あの子は誰の子?」という疑念。――それ、もう視聴者は知ってるんだけど、登場人物たちが“気づいてしまう”瞬間に立ち会う怖さって、ありますよね。
雪子が感じた違和感と、美海の“聞けないこと”
そして衝撃だったのが、美海が学校帰りに保育園を訪ね、雪子に「お母さんには聞けないことがあるんです」と相談を持ちかける場面。
このセリフ、深夜に見てて本当に背筋がゾクッとしました。
たった一言で、美海の中に“真実の影”がうっすら見えてることが伝わる。
子どもって、案外大人の秘密に気づいてるんですよね。大人の表情、言葉の選び方、ちょっとした沈黙の時間。全部、ちゃんと見てる。
「この子は誰?」という問いの裏にある恐怖
雪子が美海に対して抱いた疑念は、おそらく“理屈”じゃなくて、“感覚”だったんだと思います。
そしてそれが、紘海の秘密に迫る一歩手前まで来ていることを示している。ここから物語がさらに動き出す匂いがします。
この「正体がバレそうになるスリル」って、物語のテンポとしてめちゃくちゃ絶妙で。
母としての愛情と、誘拐犯としての罪の両方を抱えている紘海が、どこまで「母」でいられるのか。
この緊張感がたまらないんですよね。僕も、自分の娘に変な嘘をつきたくないからこそ、この話がただのサスペンスじゃなく、“自分ごと”に感じてしまうのかもしれません。
旭を恨んでいるのは紘海だけじゃない…? もう一人の復讐者
ここで物語がグッと深みを増してきたなと感じたのが、「旭を憎んでいるのは紘海だけじゃなかった」という事実。
歓迎会のシーンで語られた、“yukiデリ”から“タイナス”に転職できなかったたった一人の元社員の存在。そしてそこに浮かび上がったのが、調理責任者・水澤という名前。
僕はここで、「あ、これは“もうひとつの復讐の線”が動き出したな」と確信しました。
歓迎会で明かされた“裏切られた男”の存在
紘海が職場で旭の話題を持ち出したとき、出てきたのが「転職できなかった唯一の元社員がいる」という証言。
全社員が再雇用された中で、“たったひとり外された存在”がいるというのは、それだけでドラマとしての重さを持っています。
しかも、それが食品事故当時の現場にいた責任者・水澤だった可能性があるとなれば、彼が口を開くことで旭の「過去の真実」が一気に暴かれる可能性も。
これは完全に、もうひとつの地雷ですね。
浮上する調理責任者・水澤の過去と隠蔽疑惑
公式の予告でも、水澤に関する情報が徐々に漏れ出してきています。
「隠蔽」「事故」「幼児殺し」――この重たいワードにすべて関係している人物が水澤であるなら、旭が“意図的に守った何か”があるのではないかと考えざるを得ません。
僕自身、マーケターという仕事柄、「どの情報をどう外に出すか」に敏感なんですが、このドラマの情報の出し方、まさに上級者向けの布石なんですよね。
水澤が登場したとき、旭がどう反応するのか。そして紘海は、その情報をどう使うのか。
“復讐の矛先”が別の方向からも旭に向かっているというこの構図。まさにサスペンスドラマの王道ですが、それでも見逃せない理由がここにあります。
【第5話考察】復讐、愛情、そして正義…すれ違いが導く崩壊の予感
今回の第5話を見終わったとき、「これはもう“誰かが壊れる”一歩手前だ」と感じました。
紘海は、母としての顔と、復讐者としての顔を切り替える日々を生きています。でも、あの表情の変化を見ていると、もうその切り替えは限界に来ている気がしてなりません。
そして旭もまた、決して“悪一辺倒”な人間ではないからこそ、彼の側にも葛藤や後悔、あるいは“何かを守り通そうとする意志”が見え隠れする。
この「全員が正しさを信じてるけど、どこかが間違ってる」構図こそが、この作品の一番おもしろいところだと僕は思っています。
正義と正義がぶつかり合ったとき、物語は予想を超えていく。
だから、ただ「悪を成敗する」だけの話では終わらない。復讐も愛情も、どこか歪んでいて、それでも一人の人間の“選択”が残酷なくらいリアルに描かれていく。
娘を想う気持ちと、過去への怒り。この二つの感情を両立させようとする紘海の姿に、僕はずっと目を奪われていました。
僕自身、娘との時間が何より大切だからこそ、「誰かにそれを奪われた」ときに人は何を選ぶのか――そんな問いを突きつけられた気がします。
第6話以降、いよいよ「真実」が一枚ずつ剥がされていくと思いますが、もう逃げられないですよね。僕も、そしてきっと紘海も。
- 旭の真摯な仕事ぶりに紘海が動揺
- 「幼児殺し」投書が示す第三者の恨み
- 美海が雪子に“母には聞けない”相談をする
- 誘拐の真実に徐々に近づく周囲の視線
- 元社員・水澤の存在が新たな波紋を呼ぶ
- 復讐か母性か、揺れる紘海の内面
- それぞれの正義が交錯し始めた第5話
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