映画『ファーストキス』考察｜ストーリーの伏線や結末の意味を深掘り！

2025年2月7日に公開された映画『ファーストキス 1ST KISS』は、坂元裕二の脚本と塚原あゆ子の監督による感動的なラブストーリーです。

事故で亡くなった夫を救うために過去へ戻るヒロインの奮闘が描かれますが、そこには数多くの伏線や、深く考えさせられる結末が用意されています。

本記事では、ストーリーに隠された伏線や結末の意味について詳しく考察し、作品の魅力を徹底解剖します。

『ファーストキス 1ST KISS』のストーリーと基本情報

2025年2月7日に公開された映画『ファーストキス 1ST KISS』は、坂元裕二が脚本を手掛け、塚原あゆ子が監督を務めた切ないラブストーリーです。

タイムトラベルをテーマに、過去と未来が交錯する物語が描かれ、観客に「愛とは何か」「運命は変えられるのか」といった深いテーマを投げかけます。

本項では、本作のあらすじやキャスト、制作背景について詳しく紹介します。

あらすじ｜過去と未来をつなぐ切ないラブストーリー

物語の主人公は、硯カンナ（松たか子）。

彼女は結婚15年目の夫・硯駈（松村北斗）を事故で失い、悲しみの中で新たな人生を歩もうとしていました。

しかし、ある出来事をきっかけにカンナは15年前の過去へとタイムスリップし、若き日の駈と再会します。

過去に戻ったカンナは、駈を再び愛するようになりますが、彼の死の運命を変えようとするたびに未来は思いもよらぬ形に変化。

そしてカンナは、ある究極の選択を迫られることになります。

キャスト・スタッフ｜松たか子×松村北斗の初共演

本作のキャストには、日本の実力派俳優陣が集結しました。

主演の松たか子は坂元裕二脚本の作品に多く出演しており、今作でも複雑な感情を抱える主人公を見事に演じています。

また、松村北斗は、過去と未来の駈を演じ分けることで、時間軸を超えた愛の物語に説得力を持たせました。

原作はある？オリジナル脚本の魅力

『ファーストキス 1ST KISS』は、原作のない完全オリジナル作品です。

坂元裕二は、これまで『花束みたいな恋をした』や『大豆田とわ子と三人の元夫』など、リアリティのある恋愛描写に定評のある脚本家です。

本作でも、ファンタジー要素のある「タイムトラベル」を取り入れながら、恋愛のリアルな側面を描いています。

過去と未来が交錯する展開の中で、「運命は変えられるのか？」という問いを観客に投げかける、深いテーマ性が特徴です。

ストーリーに散りばめられた伏線とは？

『ファーストキス 1ST KISS』は、単なるタイムトラベル・ラブストーリーではなく、細かく散りばめられた伏線が物語の深みを増しています。

一見すると何気ないシーンやセリフの中に、結末へのヒントが隠されており、後半でそれが回収される仕掛けになっています。

本項では、特に重要な伏線について解説していきます。

「ミルフィーユ理論」｜時間の層がもたらす意味

本作の時間の概念は、「流れる時間」ではなく、「積み重なる時間」として描かれています。

劇中で駈が研究していた古生物学の地層の理論がそのまま時間の流れに適用され、過去と未来は層になって積み重なっているのです。

カンナが過去を変えようとしても、新たな未来が「上書き」されるのではなく、「新しい層」として追加されていくため、彼女の行動は未来を大きく変えることができませんでした。

この理論が示すのは、「運命は変えられないが、経験は積み重なっていく」というテーマです。

繰り返される「いってらっしゃい」｜重要なメッセージ

映画の中で、カンナと駈の間には何度も「いってらっしゃい」というセリフが登場します。

これは単なる日常のやり取りではなく、未来を変えるための重要なポイントとなっていました。

カンナは駈の死を避けるために過去を変えようとしますが、最後には彼を見送るという決断をします。

ラストシーンでカンナが駈に向かって「いってらっしゃい」と言うシーンは、彼女が駈の人生を尊重し、彼の選択を受け入れたことを示唆しています。

カンナの靴下と恋愛感情のつながり

本作では、カンナが駈の靴下を何度も履いているシーンが描かれています。

一見すると何気ない行動に思えますが、これも恋愛感情と結びついた重要な伏線の一つです。

ロープウェイのシーンでカンナが「恋愛感情と靴下の片方はいつかなくなる」と語る場面があります。

これは、「恋愛感情は時間とともに薄れてしまう」という比喩でもあります。

しかし、カンナは無意識のうちに駈の靴下を履き続けていたことで、彼への愛情が消えていなかったことが示されています。

この伏線は、カンナが過去を振り返り、駈への気持ちを再確認する流れへとつながります。

これらの伏線は、結末に向けて少しずつ回収されていき、ラストシーンの感動をより深いものにしています。

結末の意味を考察！運命と選択の狭間

『ファーストキス 1ST KISS』の結末は、単なるハッピーエンドでもバッドエンドでもない、深い余韻を残すものとなっています。

カンナは過去に戻ることで駈の運命を変えようとしましたが、最終的には「ある選択」をすることで物語を締めくくります。

本項では、カンナと駈の決断、運命の不可避性、そして作品が伝えたかったメッセージについて深掘りしていきます。

カンナの最終決断｜駈と出会わない未来

カンナは何度も過去を変えようと試みますが、駈の死という運命を避けることはできませんでした。

最終的に彼女は、「駈と出会わなければ彼を救える」という結論にたどり着きます。

そして彼女は、過去の自分に駈と出会わない未来を選ばせるという決断を下します。

この選択は、カンナが愛する人を守るために自分自身を犠牲にするという、極めて切ないものとなりました。

駈の選択｜愛する人を救うための犠牲

しかし、駈もまたカンナの存在を忘れることができないという選択をします。

カンナと出会わない未来が作られたにもかかわらず、駈は「なぜか惹かれる相手がいる」と感じ続けるのです。

これは、本作が描く「愛は記憶を超える」というメッセージを象徴しています。

駈の人生からカンナの存在が消えたはずなのに、彼の心の奥には彼女への愛が残り続けるのです。

運命は変えられないのか？物語が示すメッセージ

『ファーストキス 1ST KISS』の物語は、タイムトラベルという設定を使いながらも、「運命は変えられない」というテーマを描いています。

しかし、それと同時に「人の心は時間を超える」というメッセージも込められています。

運命は変えられなくても、過去を振り返ることで、人は新しい選択をすることができるのです。

カンナが駈を救うために選んだ道、そして駈が無意識のうちにカンナを探し続ける姿は、愛の形のひとつを示しています。

この結末に対し、観客はそれぞれ異なる解釈をするでしょう。

「悲劇的な運命に抗えなかった物語」とも、「愛が時間を超えた奇跡の物語」とも言えるラストシーンは、多くの余韻を残します。

『ファーストキス 1ST KISS』考察まとめ

『ファーストキス 1ST KISS』は、単なる恋愛映画ではなく、「愛とは何か」「運命は変えられるのか」といった深いテーマを描いた作品でした。

タイムトラベルという要素を用いながらも、ストーリーの根幹には選択と受容があり、観客に考えさせる余韻を残しました。

本作に散りばめられた重要なポイント

• 時間は「積み重なるもの」──ミルフィーユ理論が示す、変えられない運命
• 「いってらっしゃい」の意味──見送ることで成長し、愛する人の人生を尊重する
• 靴下の伏線──恋愛感情は薄れていくものではなく、知らぬ間に残り続ける

カンナと駈が選んだ道

• カンナの決断──駈を救うために、自分の存在を消す選択
• 駈の思い──カンナのいない未来でも、彼女への愛が無意識に残る
• 「運命には逆らえないが、愛は時間を超える」──ラストシーンの示唆

『ファーストキス 1ST KISS』が伝えたかったこと

本作は、タイムトラベルによる運命改変を描きながら、「過去を変えることはできなくても、人は選択によって未来を変えられる」というメッセージを伝えています。

悲しい結末でありながらも、カンナと駈の「愛が時間を超える」ことを示したラストシーンは、観る人によって解釈が異なるでしょう。

観客はそれぞれの視点で、「もし自分だったら？」と考えさせられる、余韻の残る名作となりました。