『知らないカノジョ』原作はフランス映画？ストーリーとの違いを徹底解説

2025年2月公開の映画『知らないカノジョ』は、2019年のフランス映画『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』（原題：Mon Inconnue）を原作とした日本版リメイク作品です。

主演は中島健人、ヒロイン役にはmiletが抜擢され、三木孝浩監督がメガホンを取りました。

本作は、“もしも最愛の人と出会っていない世界に迷い込んだら？”というファンタジックな設定のもと、恋愛・音楽・人生の選択を描く作品となっています。

では、原作と映画版の違いはどこにあるのでしょうか？

この記事では、ストーリーやキャラクター設定の変更点、結末の違いを徹底解説します。

『知らないカノジョ』と原作『ラブ・セカンド・サイト』のストーリー比較

『知らないカノジョ』は、2019年のフランス映画『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』（原題：Mon Inconnue）を日本の設定に置き換えてリメイクした作品です。

物語の軸は共通しており、主人公が最愛の人と出会わなかった世界に迷い込み、再び関係を築こうと奮闘するというテーマが描かれています。

しかし、設定やキャラクターの職業、ラストの展開など、多くの違いがあります。

原作『ラブ・セカンド・サイト』のあらすじ

原作の主人公ラファエルは、売れっ子作家として成功していましたが、仕事に没頭するあまり、妻オリヴィアとの関係が冷え切っていました。

ある日、夫婦の間に決定的な溝が生まれ、翌朝ラファエルが目覚めると、自分が「妻と出会っていない世界」にいることに気づきます。

その世界ではラファエルは無名の教師、オリヴィアは有名なピアニストとして成功していました。

ラファエルは、もう一度オリヴィアと恋に落ちることができるのか？

映画『知らないカノジョ』のあらすじ

映画版では、主人公神林リク（中島健人）が、小説家として成功を収めていました。

しかし、彼の忙しさにより、妻ミナミ（milet）との関係は次第にすれ違っていきます。

ある晩、リクがミナミと大喧嘩をした翌朝、彼が目を覚ますと、ミナミが自分のことを全く知らない世界に変わっていました。

この世界では、リクは文芸誌の編集者となり、ミナミは人気シンガーソングライターとして成功していたのです。

リクは、もう一度ミナミと出会い直し、彼女の心を取り戻すことができるのでしょうか？

原作と映画の違いを徹底比較

『知らないカノジョ』は、フランス映画『ラブ・セカンド・サイト』を日本の文化や価値観に合わせてリメイクした作品です。

物語の骨格は同じですが、登場人物の職業、舞台設定、ストーリー展開など多くの違いがあります。

ここでは、特に大きな変更点について詳しく解説します。

舞台設定の違い：フランスから日本へ

原作はフランス・パリを舞台にしており、洗練されたヨーロッパの街並みが作品の雰囲気を演出していました。

一方、『知らないカノジョ』は日本の東京が舞台となっており、都会の雑踏やライブハウス、文芸誌の編集部など、現代日本のリアルな風景が描かれています。

また、原作ではカフェや図書館といったクラシックな場所での再会が中心でしたが、映画版では音楽スタジオやライブ会場など、より動的な空間が取り入れられています。

主人公とヒロインの職業変更

原作では、主人公ラファエルは元・売れない作家であり、パラレルワールドでは中学の国語教師になっていました。

一方、『知らないカノジョ』では、神林リクはベストセラー作家であり、パラレルワールドでは文芸誌の編集者になっています。

また、ヒロインの職業も変更されており、原作では「ピアニスト」だったのに対し、映画版では「シンガーソングライター」に変更されています。

この変更により、音楽が物語の中心的な要素となり、miletの楽曲がストーリーと深くリンクする仕掛けが施されました。

映画オリジナルキャラクターの追加

映画版では、原作には登場しないオリジナルキャラクターが追加されています。

特に注目すべきは、桐谷健太演じる梶原恵介の存在です。

彼は、リクの大学の先輩であり、パラレルワールドでは文芸編集部の同僚として登場します。

梶原は「パラレルワールドとは何か？」という視点からリクを導く役割を担い、物語のキーキャラクターとなっています。

また、眞島秀和演じる田所哲斗という音楽プロデューサーの存在も大きな変更点のひとつです。

田所は、ミナミのキャリアを支える一方で、彼女を自分の管理下に置こうとする野心的な人物として描かれています。

このキャラクターの追加によって、リクとミナミの恋愛だけでなく、「キャリアと愛の選択」というテーマが強調されるようになりました。

ラストシーンの違いと物語の結末

『知らないカノジョ』と原作『ラブ・セカンド・サイト』は、物語の構成は似ているものの、ラストの展開が大きく異なります。

原作では「夫婦関係の修復」がテーマでしたが、映画版では「出会い直す可能性」が示唆される結末になっています。

それぞれのラストシーンの違いを詳しく見ていきましょう。

原作：夫婦関係を修復する結末

原作では、ラファエルはオリヴィアを取り戻すために奮闘し、最終的に彼女と再び恋に落ちることに成功します。

そして、パラレルワールドの中で「知らないカノジョ」ではなく「最愛の妻」として、オリヴィアとの関係を再構築していくという結末を迎えます。

このラストは、「過去の過ちを乗り越えて、新しい関係を築くことができる」という前向きなメッセージを含んでいます。

映画版：最初から出会い直す可能性

一方、『知らないカノジョ』では、リクはミナミの未来を尊重し、彼女と出会わないままの世界を受け入れようとします。

しかし、ミナミ自身がリクを探し出し、再び彼の前に現れるのです。

映画版のラストシーンでは、ミナミが「あなたが書いた小説を読みたい」と伝え、2人は運命的に再び結ばれます。

このラストは、「過去を修復するのではなく、新たな関係を築く」というテーマが強調されています。

また、原作の「修復」とは異なり、映画版は「再び恋に落ちる可能性」を示唆する形で終わります。

このように、原作と映画版では「過去に戻るか、新たな未来を歩むか」という点で、物語の結末が大きく異なっています。

映像美と音楽演出の魅力

『知らないカノジョ』は、映像美と音楽の融合によって、原作とは異なる独自の魅力を生み出しています。

特に、三木孝浩監督ならではのロマンチックな映像表現と、miletの音楽が物語の感動をさらに高めています。

ここでは、映画版ならではの映像演出と音楽の魅力について詳しく解説します。

三木孝浩監督ならではの映像表現

三木孝浩監督は、『今夜、世界からこの恋が消えても』『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』など、切なくも美しい恋愛映画を得意とする監督です。

『知らないカノジョ』でも、光や影を巧みに使った映像美が印象的で、幻想的な雰囲気が際立っています。

特に、リクとミナミが夜の東京の街並みを歩くシーンや、ライブステージのシーンでは、温かみのある照明が二人の心の距離感を象徴しています。

また、回想シーンではソフトなフィルターを使用し、「過去の美しい思い出」と「現在のリアルな世界」のコントラストが巧みに描かれています。

miletの楽曲が物語に与えた影響

本作のヒロイン・ミナミを演じるmiletは、映画のために書き下ろした主題歌「I still」を歌っています。

この楽曲は、「失われた愛」と「再び巡り合う希望」をテーマにしており、映画のストーリーと深くリンクしています。

特に、クライマックスのライブシーンでは、ミナミが観客の前で「I still」を歌い上げる瞬間が、本作の感動のピークとなります。

このシーンでは、リクがミナミの才能を再認識し、彼女を応援することを決意する重要な場面でもあります。

また、劇中のBGMも、miletの楽曲をアレンジしたピアノやオーケストラ調のアレンジが用いられ、映画全体の雰囲気を引き立てています。

このように、『知らないカノジョ』は「音楽と映像が一体となった感動作」として、原作にはない魅力を生み出しています。

『知らないカノジョ』まとめ

『知らないカノジョ』は、フランス映画『ラブ・セカンド・サイト』を原作としながらも、日本ならではの要素を取り入れたリメイク作品として新たな魅力を生み出しました。

原作の「夫婦関係の再構築」というテーマに対し、映画版では「もう一度出会い直す可能性」が描かれています。

また、キャラクター設定や職業が変更され、音楽を物語の重要な要素として取り入れたことで、よりエモーショナルな作品となりました。

さらに、三木孝浩監督による美しい映像表現と、miletの楽曲「I still」がストーリーに深く組み込まれることで、音楽と映像がシンクロする感動的な仕上がりとなっています。

原作とは異なるラストシーンも、本作の特徴のひとつです。

過去を修復するのではなく、「新しい関係を築く未来を選ぶ」というメッセージは、観客に深い余韻を残しました。

『知らないカノジョ』は、恋愛映画としてだけでなく、「人生の選択と後悔」を考えさせる作品でもあります。

まだ観ていない方は、ぜひ劇場で「もしも最愛の人と出会わなかった世界」を体感してみてください。